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かつて号外輸送などに使われていた落下傘

2010年7月、知り合いの古物商より(有償で)受贈。
 昭和戦後の一時期、遠隔地への号外輸送に落下傘が使われていた。号外の束とともに飛行機やヘリコプターから投下、グラウンドや河川敷などに落とし、下で待機していた販売店員らがそれを拾い、配布に向かったという。
 2005年7月28日付の読売新聞記事(東京都民版)によると、読売新聞では同様の落下傘は1955年ごろから使われ始め、印刷工場の増加や道路網の発達などの理由から1967年1月を最後に使われなくなったという。なのでおそらく、朝日新聞でもほぼ同時期に使われたものだろう。
 落下傘本体に製造時期などが書かれており、それによると昭和33年(1958年)2月に作られたもので、この落下傘で落とせる物量は10kgまで。
 傘本体などに朝日の社章が入っており、その向きから、東京本社で使われていたものと推測される。また、本来はこの下に投下のため積荷と傘をつなぐための袋か何かがあったと思われるが、残念ながら今回譲り受けたものにはついていない。

  新聞社の落下傘は、私自身現物を見たのは今回入手したものを除けば横浜の新聞博物館にあるのを見たぐらいで、ほとんど最近では見かけない超珍品。号外輸送以外に、災害救助のための物資の輸送・投下にも使われたらしい(前掲読売記事)が、投下するとなると1個や2個ではないだろうし(昭和30年代の号外10kgとなると、それなりに運べると思うが、朝刊10kg分となると、部数としてはそれほど多くはない。興味のある方は、自宅に溜まっている古新聞の重さを量ってみては如何。新聞って、軽いイメージあるけど、結構重たいんですよ)、まして災害の救援物資となるともっと必要になるだろう。
 また、一度投下された落下傘は、まさか使い捨てなんてことはないだろうから、回収して使い回したと思われる。そういった事を考えると、数十個規模で使われていたと推測される(別の読売記事では、倉庫から落下傘60個と投下袋300個が出てきた、とある)。だとしたらもっと市場に流出してきてもおかしくないが、意外に見ない。となると逆に、これがどういうルートで出てきたのか、大変興味深い。

 横浜で落下傘による号外輸送の資料を見て以来、常々疑問だったのだが、
  投下した後で荷物ごと第三者にネコババされることはなかったのか?
  また、風に流されて川に落ちるなど、回収不能になったり、あるいは行方不明になるものもあったのではないか?

いろいろと調べてみると面白そうなものである。可能であれば、一度飛ばしてみたい気もするのだが、どこかで実験できないものか…。


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